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音楽に罪はない? [音楽]

最近連日テレビで放送されている「薬中ミュージシャン、俳優」の事件に関連して、「音

楽に罪はない」という趣旨を「某有名ミュージシャンが」言ったそうです。こういう話を

聞くと、私はフルトヴェングラーの事を思い出します。

(写真は全て他からお借りしました)

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フルトヴェングラーは、第二次世界大戦中ナチスに協力して演奏を行ったと戦後批判されま

した。以前にも書いたと思いますが、このことがフルトヴェングラーの音楽の価値を1mm

たりとも動かすものではありませんでした。

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音楽は、それ自身が罪を犯すことはありません。罪を犯すのは人間です。しかし、フルト

ヴェングラーはドイツ国民として「当時の国家」のための合法的な演奏会で演奏したにす

ぎません。ベートーヴェンやワーグナーの曲でナチスが高揚する特別な演奏などある訳が

ありません。音楽的にではなく、人間としての社会的な「罪」は戦後の人々によって着せ

られたものです。

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音楽に罪はないのだから、CDの販売などを中止すべきではないという意見には、少し反論

があります。犯罪者は「罪」を償わなければなりません。CDを販売すれば当然著作権料が

支払われなければいけません。サラリーマンだったらどうでしょう。会社をクビになり給与

や退職金は支払われません。ましてや失業保険ももらえないでしょう。これが社会的制裁で

す。「ミュージシャン」だからと言って本業の著作権料収入が得られるのでは、社会的制裁

になりません。CDの出版会社としては著作権料(印税?)を払わないで販売するわけにはい

きません。だから中止にせざるを得ません。タダで配るのなら良いかもしれませんが、それ

ではコストが回収できません。結局中止でしょう。


今日、音楽には商業的要素が密着しているので、この商業的な面で社会的制裁を受けざるを

得ないと思います。法的な罪の償いの他に、「社会的制裁」を受けるのは良いか悪いかは別

として、今日の日本の社会的感情の中では逃れられないことだと思います。

「某有名ミュージシャン」の言葉は、音楽を「崇高化」しただけのキレイごとにしかすぎま

せん。例えば、歌が天才的に上手い反社会的勢力に属する人がいたとしても、この人のCDを

販売する会社は、コンプライアンスの問題から、今日あり得ません。犯罪を犯した人も同様

です。「某有名ミュージシャン」はこんなことを言い放って、CDを販売する会社があると思

っているのでしょうか。音楽そのものには罪はないことは認めますが、一方でプロミュージ

シャンの音楽は「商品」でもあるのです。


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