ちょっとスッキリしたい バッハ チェロ組曲第3番デシュパリ編曲ペトリニャック運指の楽譜のこと [クラシックギター]
チェロ組曲第3番の楽譜をよく見てみました。
まず、ペトリニヤックの運指ですが、雨のトレモロさんが指摘された第2番のプレリュード
9小節目と同じ問題が、第3番のプレリュード19小節目にもありました。私は第2番はほとん
どやったことが無いので、第3番で考えてみたいと思います。
下の楽譜は、アスピアス版のチェロ組曲第3番です。
下が、第3番の19小節目のペトリニヤックの運指です。⑤弦の5フレットのDを4で押さえ
たまま③弦1フレットのG#を1で押さえるという運指になっています。YouTubeでペトリ
ニヤックの演奏を見ると楽々と押さえているように見えます。私でもぎりぎりとどきます
が、とてもこの運指で練習する気になれません。(^^;
下は、アスピアス版です。同様の編曲ですが、「弾ける」運指になっています。
では何故こんな編曲になったのでしょうか。同様の小節は他にもいくつかありますが、この
プレリュード19小節目で考えてみます。
下は、デュアルテ版です。これがオリジナルを考慮した編曲だと思います。
下は、モーリス・ジャンドロ版の第3番のチェロの楽譜です。ヘ音記号のハ長調です。頭の
C線のFがダウンボーでその後がG線上のアップボーでスラーが付いています。この様にチェ
ロで弾くとFに少しアクセントが付くので、ギターのイ長調の頭のDをバスの様に編曲するの
はうなづけます。
この様に考えて行くと、ペトリニヤック運指にこだわる必要はなく、アスピアス版の「弾け
る」運指を参考にすれば良いと思います。また、私が「首を傾げた」この様な編曲もアスピ
アスが既にやっており、譜面からの編曲だけでなく、実際のチェロの響きを考慮した編曲と
思われるので、私としては興味が湧いてきました。
今回色々とこれ等の楽譜を見渡していると、何となく類似性を感じます。デシュパリの編曲
はアスピアス版を下敷きにして、デシュパリの独自性を盛り込んだと考えるのは、私の考え
すぎでしょうか。(^^;
少なくとも、チェロ組曲第3番のイ長調のギター編曲楽譜は、デュアルテ系とアスピアス、
デシュパリ系の2系統に大きく分けられるのではと思います。
蛇足ですが、ト長調版のイェーツ版でも、上記と同じところの頭の音がバスになっていま
した。調性は違いますが編曲の考え方は、アスピアスやデシュパリに近いようです。
多少スッキリしましたが、練習せずにこんな事をいくら書いても、チェロ組曲第3番が上手
に弾ける様にはなりません。(^^;
たこやきおやじさん,
私はヴァンゲンハイムの演奏が自然に聞こえます。彼がここをどう弾いていたかは記憶にありませんが。編曲版は沢山ありそうですが,ヴァンゲンハイムの版があるのかどうかは知りません。(私も弾きましたが,この辺をどう弾いたかは忘れました。)
拍頭の音をアクセントをつけて溜め気味に弾くのはオリジナルのチェロはもちろんそうでしょうし,単音しか出ないサキソフォンでの演奏もそうですが,ギターの場合バス音として持続できるのでそうしてしまおうという考え方は当然あるでしょう。
バッハが楽器の特性を考慮して擬似ポリフォニーで作曲しているものを,どうポリフォニックに再現できるかということです。全くオリジナルの譜面通りに弾いたのでは,音が伸びない反面多声を表現できるギターの特性が生かされないので,当然工夫が必要でしょう。
無伴奏フルートは極端な例です。見かけ上は単旋律で書いてある譜面にバスの追加やどこを持続音にするかなど,かなり編曲者の考え方が入ります。
オリジナル重視(とはいえ楽器が異なるので何らかの手直し必要)か,ギターの特性重視か,弾きやすさ重視か,結局はたこやきおやじさんのお考えで版を選択もしくは作成されるのが良いかと思います。
by Enrique (2020-03-14 06:01)
Enriqueさん
私はあまりオリジナルの楽譜にこだわらずに弾きたいと思っています。しかし、音楽的表現は、カザルスの演奏が頭にこびりついてしまっていますが。(^^;
by たこやきおやじ (2020-03-14 11:36)